
『役所の縦割り、既得権益、悪しき前例を打破して、規制改革を進めていく』を掲げ、菅新内閣が発足しました。
所信表明演説で「携帯電話料金の引き下げ、デジタル社会への転換、脱炭素社会の実現、地方の活性化。これらに注力する」と明言し、関係省庁へ迅速に実行に移すよう指示を出しています。
また、先日、河野行政改革担当大臣は「ただ押しました!というハンコ(押印)はいらない」といい、また、「9割以上の行政手続きにハンコは廃止できる」とも言及し、関係諸機関が、それに応える形で「脱ハンコ」の動きが進んでいます。コロナ禍で「在宅ワーク」の環境下「決裁の為だけに出勤するという役職職員がいる事」が報道されたり、また、「ペーパーレス」「デジタル決裁」等は以前より推進されている事もあり、デジタル担当大臣のポストも新設されデジタル庁を創設予定です。これにより社会におけるデジタル化に一層の拍車をかける形となっています。福祉の現場においてもIT化の推進が求められています。
私はまず、前述の「ただ押しました!というハンコ(押印)はいらない」という河野大臣の発言を耳にした時、提出される決裁書類の私の押印が「ただ押すだけ」になっていなかったか?また、各事業所や職員への周知事項を既読の確認の為に、職員一人一人に押印を指示している事について、適正に周知されているのか?と個人的に考えさせられる機会となりました。
同大臣がこのようにおっしゃる「趣旨」は「決して全ての『押印』を廃止するとは言っておらず、行政で『慣例的』に行われている意味がない『押印』を廃止する事で行政内の決裁を迅速に行う事や、国民への行政サービスの簡素化が実現できる」という事だと私は理解しています。
そう考えると職場で提出される決裁書類の中身を適切に把握したうえで「押印」する事には意味があり、「押印欄」にただ「押印」する事は意味がない。と言えます。それは日誌等を書く(入力)する職員側も責任を持って様々な情報を盛り込み「担当欄」に「押印」する義務があり、それを受ける役職者はその情報を適切に把握する義務があるという事であり、そこには「ただ押印している」だけの書類は存在しません。
また、逆に役職者より周知される文書も何を職員に伝えたいのか?を明確にした上で回覧する必要があります。よって、職員は「上司が伝えたい事はこういう事だ。」としっかり理解した上で確認印を押す事で周知内容に価値が生まれます。
今後、福祉の現場においてもSNS等による「情報発信・共有」といったあり方に移行し、一層IT化が進み、伝達方法は簡素化され、より早くより多くの方に情報共有が可能となります。その反面、その情報管理といった課題も含まれています。IT化はあくまでも手段であり、情報を発信する側・受ける側の双方お互いにその内容を的確に把握し、共有し、管理する義務があると考えます。
デジタル社会となったとしても「SNSで情報発信しただけ、それを受けただけ」では「ただ押印しているだけ」と変わりない事を個々が自覚しなければならないと思います。